
- 担当範囲
- 企画・構成・コンセプティング・アウターブランディング・インナーブランディング・キャンペーン支援、営業ツール開発
- 制作期間
- 12ヶ月
- URL
- https://hayashiya-inc.co.jp/
- CD/Copy writer:恩田貴行(ランニングホームラン)
- AD/ Designer:淵 憲一(フチデザイン)
- Dir:飯田 喬(ランニングホームラン)
- D:古田 ナツ子(ありがとう)
- D:尾沢 早飛(コーニーデザイン)
- D:伏木 一博(コーニーデザイン)
- CA:峯 竜也
- Pr:澤 海渡(ランニングホームラン)
- Assistant:齋藤 由空、成田 吉子、池田 彩乃、廣瀬 慎(いずれもランニングホームラン)

創業約15年を迎えた、池袋の名店『やきとん木々家』のブランディング
飲食店経験はバイト3カ月のみ。そんな経歴から池袋の名店を生みだした林田社長。今でこそ池袋周辺はやきとん激戦区となっていますが、創業当時はまだ複数あるだけ。そんな池袋で木々家は目覚ましい発展を遂げていきます。噂が噂を呼び、あっという間に人気店へ。平日も休日もつねに満席となり、サラリーマンの呑み屋ポジションのみならず、一人客や女性客までも獲得。年齢層で言えば、若い大学生から中年までと幅広い層から支持を得ました。店舗数も増え続け、最大で8店舗を構えるまでに成長していきます。
その類まれ内成長の原動力になったのが「徹底力」でした。
①こだわり抜かれたビールサーバー
木々家の看板商品と言えば「ビール」。キンキンに冷えたビールであることはもちろん、サッポロ社やアサヒ社の担当者と打合せし、ビールサーバーまで特注。サーバー樽専用の冷蔵庫までも完備し、何十杯、何百杯と連続で注いでも、ビールの冷たさがキープできる仕様を完成させたのです。もちろんサーバー洗浄も徹底し、目には見えないグラスの汚れさえも許しませんでした。そのため、グラス用の洗浄機や乾かすための専用棚も特注。そして最後、注文されたお客様のテーブルに運ばれたときに“最も美しい泡の黄金比”になるよう、注ぎ方の型まで整えていました。それら、考えうるすべての「こだわり」をビール一杯に込めるのが木々家流です。
②やきとんの煙で、テーブルや壁をベトつかせない
木々家の徹底力は衛生面でも突出しています。目を見張るのは、天井に吊るされた大型の換気扇。数メートルおきに配置され、やきとんの煙が滞留しないよう徹底されているのです。そのため、やきとん店にありがちなテーブルや壁のベトつきは極力抑えられています。
③男女別々のトイレを必ず設置する
居酒屋にありがちな不衛生なトイレを嫌った林田社長は、徹底的にクリーンなトイレを目指しました。男女のトイレを分け、男性トイレには小便器を必ず設置。床はつねにピカピカにして、お客様が見る貼り紙にも「汚れていたらお気軽にお伝えください」と書くほど清潔感を保ちました。
それらすべてのこだわりを徹底するのが木々家流ですが、複数店舗をマネジメントしはじめたことで、この徹底力に陰りが出てきてしまったのです。その後、自前で業務マニュアルと評価システムを構築しましたが、その難易度の高さにバイトや正社員が疲弊し経営陣と現場との間に認識の乖離も出てきていました。そんなタイミングで、インナーアウター面でのブランディングとして弊社が介入させていただくことになりました。

新生「木々家」を表現した店内ポスター①

新生「木々家」を表現した店内ポスター②
CI/VI刷新と共に、見た目や精神性のアップデートに帯同
現場マネジメントの刷新はフィロソフィーワードやデザインだけで解決することが困難です。現場で働くメンバーやそれを束ねるマネージャーたちと視座を合わせ、そして彼らが率先して、新生木々家を打ち立てようとしなければ決して現場は変わりません。
このタイミングで林田社長と長年付き合いのある小島氏が新社長に就任。自身でもやきとん屋を経営した実績を持ち、創業間もない頃から木々家を愛する若き新社長は、まずはメンバーとの交流に時間を割きました。創業ご家族はもちろん、現場のリーダー人材、そしてプロフェッショナルなバイトメンバー。いくつかの店舗も閉店させ、木々家がもつ徹底力を再起動できる状態へと回帰させていったのです。
ランニングホームラン社は、この新生木々家の礎となるコンセプトを、新社長含むメンバーとの複数回セッションを経て策定していきました。生みだされたコンセプトは「生の居酒屋」です。
ビールへの徹底、喚起の徹底、清潔感への徹底。現在では、豚肉の卸や物流の他、セントラルキッチンを用いることでコスト面や効率性までも高いレベルで構築しています。それら、木々家のすべてに通ずる『徹底力』がどこから生み出されていたのか。それは、創業社長の林田社長が抱く「自分が行きたくなる店づくり」というポリシーにありました。林田社長の生い立ちから紐解いていくと、そこには類まれなる「使命感」「責任感」が随所にみられたのです。あらゆる物事に手を抜いてはならず、数学の方程式のように無駄のない必然性がなければならない。思想や考え方だけではなく、人間関係や行動の所作も同様。
つまり「努力してできることは、ぜんぶ完璧にやって当たり前」という思考です。
しかし、それがなぜ「生」という言葉に帰結していったのか。実は完璧なものを追求するマインドには多大なる負荷が生じるのです。端的に言えば、頑張りすぎている状態です。本人も無意識がゆえに気づきにくく、尚且つ、それを摂理としてとらえているため、疲弊していることを疑問にも思わず、むしろ努力の証として認知していました。
しかし、心の奥底では平安を求めているのです。あらゆる物事に手を抜かず、すべてを徹底されている状態。そのために神経をフル稼働させ、自分が求める最高の居酒屋を形成する作業の果てには「最高の平安」があったのです。つまりは、林田社長が実践する「完璧な合理」の先にあったのは「神経を稼働させずに済む店舗づくり」だったのです。
・明るく活気があって、元気がもらえる。→ 疲れている自分に元気を与えてほしいから。
・どこも清潔で、不快感が一切ない。→ 不快感を1mmも感じたくないから。
・価格も味も良く、居心地もちょうどいい。→ 疑問に思ったり、改善点を考えだしたくないから。
あらゆる物事をストイックなまでに追求してしまう自分でさえリラックスできる「行きたくなるお店」。
それは、自分本来のありのままの姿でいたい、ということでした。
つまり「生の居酒屋」とは、年齢や性別を問わず、あらゆる「疲れ」を持った人が、木々家では「ありのまま」でいられるお店のことです。
創業者のポリシーや生い立ちから紐解き、そして木々家がもつ強みとミックスさせた、新しいストーリーの形成。
それを端的にまとめたコンセプトとして「生の居酒屋」は生まれました。


働くスタッフこそが、居酒屋の原動力
その後、コンセプティングによって導き出された『生』というキーワードを軸に店舗ブランディングを実施していきました。
特に、お店の活気や雰囲気づくりの顔役となるスタッフの皆さんが進化していくことを第一に考え、ユニフォームや採用広報を展開。
また、すべてのスタッフに手渡す『名言ブック』も作成することで、木々家の「生」の雰囲気や働き方の空気感をまとめました。
堅苦しいフィロソフィーや理念ブックとは違い、肌感覚やテンションで木々家が大切にしている考え方や働く人の熱量、そして適度な脱力感が伝わるツールです。
新社長の熱量を中心に、みるみるうちに活気を取り戻していく木々家。本来の力を取り戻し、働くスタッフたちのモチベーションも徐々に増加。
新しい社員たちの採用にも成功し、今も成長を続けています。



今まさに自分のテーブルに届いたようなメニュー写真
ビールのみならず、あらゆる商品に木々家の魅力が詰まっています。そんな商品たちの全商品の撮影を実施。
綺麗に美しい画像にするのではなく「今まさに自分のテーブルに届いたような」写真をイメージして撮影を行いました。



生の居酒屋としての在り方や新社長のポリシーなどを約50の言葉に集約した冊子

MVVや経営理念などの堅苦しさを廃し、居酒屋らしい空気感や温度感を持ったツールにしました

木々家のポリシーやストーリーを体感できるコースター

ポロシャツだった制服を一新し、ラフでカジュアルなTシャツスタイルに変更

あえて作り込みすぎないメニュー表
メニューブックも一新しました。従来の手描きメニューもお客様に好評でしたが、写真がなかったため撮影画像を伴ったメニューに刷新。
作り込まれたプロフェッショナルなメニューではなく、誰もが気軽に、あえてちょっと乱雑にあつかってもよさそうな身近なメニューに。
